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「有給休暇5週間」のフランスのバカンス事情【フランス人の働き方と休み方 1】

 

悩んでいる人
フランスでは有給が5週間もあるってホント?しかも消化率100%?日本では有給をとるのがこんなに大変なのに。。。一体何が違うのか知りたい。

 

こんなお悩みを解決します。

 

  • 本記事の内容

・フランスの有給は本当に5週間?

・バカンスのない会社は違法

・フランスでは有給を取りづらくないのか

 

  • 本記事の信頼性

 

フランスでは5週間の有給休暇があると言っても、日本人の友人たちにはなかなか信じてもらえません。「そんなの一部の恵まれた会社だけでしょ」とか、「そんなに休んだらクビになるでしょ」などと言う言葉が返ってきます。確かに、日本の常識から考えると、労働者全員が5週間も有給を取るなんて信じられないですよね。実際のところはどうなっているのか、フランスの実情をお話します。

有給休暇の取得率が世界で最下位の日本と、取得率100%のフランスでは、何が違うのでしょうか。日本とは対極にあるように見える、フランスでの有給休暇に対する考え方を知ることで、新たな発見があるかもしれません。ぜひこの記事を最後まで読んでみて下さい。

 

日本の働き方や休み方も変革期に入り、疑問に思うことも多いかと思います。海外の事情を知ることで、自分の働き方を考えるきっかけにしていただけたら嬉しいです。
Kana

 

フランスの有給取得率はなんと100%!

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フランスの労働法は、労働者の処遇、賃金、労働時間、解雇など、様々な面で労働者の権利を手厚く保障する制度となっています。その一環として、有給休暇についても労働者保護の観点から、法律で定められています。

その結果、2018年の国際比較調査(*1)でも、フランスは、ブラジル・ドイツ・スペインと並んで、100%の取得率となっています。

一方、日本人の有給休暇の取得率は非常に低く、世界19か国の中で3年連続最下位の50%となっています。日本でも、2019年から、働き方改革法案の成立で、最低5日の有給休暇取得が義務化されました。日本の状況は変わっていくのでしょうか。

 

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*1 : 2018年12月10日 Expedia 調査

 

バカンスのない会社は違法

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なぜフランスで100%の取得率になるかと言うと、年次有給休暇の日数は、各企業が独自に決めるものではなく、法律で決められているからです。

一年以上同じ企業で働いた従業員は、5週間(25日)の有給休暇を取る「権利」があります。

そして、企業は、従業員に有給休暇を取らせる「義務」があります。

これは、どの職業でも等しく全員に保障されている権利なので、フランスの社会に広く浸透し、根付いています。(フリーランスや自営業は「自己責任」でのバカンス取得になります。)

もし、社員にバカンスを取らせない会社があったとしたら、法律的に違法であるだけでなく、そのような企業は、社員からも、取引先からも、顧客からも、信用されないことになってしまいます。

このような背景があるために、フランスでは、バカンスで休んでいる会社や、8月一杯閉まっている店舗があってもだれも文句は言わない、という状況にあります。もし文句を言ったら、「あなただって休むでしょ」と言われてしまいますしね。

 

バカンスは8週間?ウソのようなホントの話

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このように、全ての労働者に5週間の有給休暇は保証されていますが、5週間は「最低限」で、職種や企業によって、それ以上の場合もあります。

実際の有給日数は企業の種類や規模によって概ね下記のようになっています。

  • 一般的な民間企業や中小企業:5週間
  • 公務員:5週間+α
  • 大手企業:6-8週間
  • 学校(幼稚園から高校)の教師:平均14週間

私が勤めていた企業(フランス大手食品会社)では、8週間の有給休暇の取得が「義務付けられて」いました。3週間の追加分は、2002年に施行された「35時間法」によるもので、週当たりの労働時間の調整によって休暇が追加されたためです。

1年に2か月近くのバカンスって、自分でもちょっと引くレベルですね。(「35時間法」の記事で解説します)

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夏休みは続けて3-4週間

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「5週間もバカンスがあったら、一体どうやって取るの?」と日本の友人たちによく聞かれます。

5週間のとりかたは、企業や職種によっていろいろですが、パン屋さんなど個人商店では、7-8月の間に3-4週間まとめて取ることが多いです。多くの企業では、7-8月の間に2-3週間、クリスマスやスキー休みなど、その他の期間に残りを取ることが多いようです。

私が勤めていた会社では、全員が7月―8月の間に3週間続けて取ること、という決まりがあって、7月組・8月組がだいたい半々になるように調節していました。

 

毎年の有給取得が可能になるしくみ

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フランスで有給の取得率が100%になる理由として、「バカンス命!」のフランス人の性格以外にも、主な理由が2つあると考えられます。

1つ目は、有給を貯めることができないしくみです。

有給休暇の「参照期間」は6月から5月と決められていて、前年の参照期間中に取得した有給休暇は、翌年の5月までに取得しなければなりません。そして、この有給休暇を翌年に持ち越すことはできません。つまり、日本の様に、有給を何年もためることが出来ないわけです。

2つ目は、病欠と有給休暇が分けて管理されていることです。

日本では、風邪をひいた場合などは有給を使って休むことになると思います。有給を使い切ってしまっていると、風邪で1日休みたくても休めず、困った事態になってしまいますよね。また、病気や怪我で万一長期間休まなければならなくなった時に備えて、有給休暇を貯めている人が多いかと思います。

一方、フランスの場合は、病欠で有給を使うことがないため、「風邪をひいた時のために有給を取っておこう」とは考えません。病欠と有給は別のシステムで管理されているため、病気になったときのことは考えずにバカンスの計画を立てられるというわけです。(「フランス人は病欠で有給を使わない」の記事で解説します)

 

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バカンスをとるのは怖くない

東京で日本企業で働いていた時は、有給を取るのが一苦労だったことをよく覚えています。職場に1週間まとめて有給を取る人は少なく、事前に引き継ぎ資料を万全に準備して同僚に頭を下げて、休み明けにはお土産を上司や同僚みんなに配って「休み中ご迷惑をお掛けし申し訳ありませんでした」と謝ってまわっていました。

フランスではこのような、休みを取る際のストレスは全く感じません。同僚に「私、来週から3週間バカンスだから~。」と言うと、「あらそう、楽しんで来てね~。」という軽いノリです。

この違いは一体なぜだろうと考えた所、2つの違いに思い至りました。

1点目は、全員が同じ様に有給をとるかどうかということです。

日本で働いていたときは、有給をとれる職場環境ではありましたが、同じ職場にほとんど有給を取らない人もいました。若い人は1週間くらいの休みを取る人が多く、年配のおじさま達はほとんど取らない、という傾向にありました。「若い人は優雅に海外旅行ができて良いね」などと嫌味っぽく言うおじさまたちは、今から考えてみると、うらやましい気持ちもあったのかなと思います。

フランスでは、全員が同じ様に決められた有給を取ることになるので、嫉妬心のようなものは生まれないような気がします。

2点目は、担当業務の線引きがはっきりしているか否かということです。

日本の会社でも担当業務は決められていましたが、数人で分担するような線引きがあいまいな業務もあって、自分が有給を取ると同僚に負担がかかってしまって、申し訳なく思う、ということが多かったように思います。

一方、フランスでは自分の業務内容がはっきり決まっていて、同僚の業務との間の線引きが明確なため、有給を取っても、自分の業務をきちんと進めていさえすれば、同僚に迷惑がかかることがあまりないように思います。

日本でも、働き方改革が浸透して、みんなが気持ちよく有給が取れる環境が整うと良いですね。

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